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保険診療と自由診療の違い

インプラント治療は保険はききませんので、すべて自由診療になります。

保険診療と自由診療では様々な面で大きな格差があるのかと疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。こちらのページでは、保険診療と自由診療について、詳しく説明していきます。

日本では国民全員が国民健康保険など何らかの医療保険に加入しています。国民皆保険制度は第二次世界大戦後に導入されたもので、戦後の困窮した暮らしの中で、軽い負担で医療を受けられるようにするには、効果的な方法だったと思います。しかし、戦後50年を超えた今、実状にそぐわない面が多々あり、さまざまな問題を抱えるようになっています。医療保険はすべての国民が生きていくのに最低の医療を受けられるようにという趣旨で始まったので、最低限の治療しか保険に含まれていません。“より良い治療”をしようとすると、保険のきかない自由診療になってしまうのです。

保険診療の矛盾が与える影響を考えてみましょう。

例えば、歯科の治療は大変重要です。神経を抜いた後で、ここをきちんと治療しないと上にいくら良いものを作っても何にもなりません。基礎工事がしっかりしていなければ、頑丈な建物を立てられないのと同じです。

歯根治療は技術的に難しく、きちんとやろうとすると1本1時間くらいかかってしまいます。しかし保険治療では2000円程度にしかなりません。したがって可能な限り丁寧に治療を行ってもせいぜい時間にして20分程度、100点満点の治療で言えば60点から70点のところで終えてしまうことになるのです。ドクターも納得しているわけではないのですが、そうしなければ経営が成り立たず、責めるわけにはいかないというのが真相です。

アメリカでは歯根治療は1本の平均単価は200~300ドル程度、治療の困難さへの理解もあり、1本の治療に充分に時間をかけられるようになっています。歯周病の予防に有効な歯石除去も、日本では時間がかかる割に低い治療費になっていますが、アメリカでは日本の17倍、イギリスで18倍、フランスで4倍の治療費がかかるというデータもあります。

日本の医療保険の“生きていくのに最低必要な”という観点からは、歯科では虫歯の治療と入れ歯が相当します。しかし、入れ歯はいくらまで、材料はここまでという制約があります。制約の中で赤字にならないように治療するには、簡単に作り簡単に入れることになります。手間暇はかけられないのです。被せるものも質の落ちたものになりますし、型も簡単に取るので精度が落ちてしまいます。保険診療では、このように制限や制約が非常に多いのです。戦後50年以上もたち日本社会も成熟してきました。高齢化社会を迎え、健康に老いていくことへの関心が高まっています。ただ長寿なだけでは幸せではない、健康でなければとの思いが強くなっています。

健康に老いるためには“歯が大切”ということに、みなさん気がつき始めました。“自分の歯で食べられる”ことが健康を維持し、生きる意欲にもつながることを理解してきたのです。また、審美性への要求も強くなっています。“芸能人は歯が命”というCMがありましたが、歯の美しさが第一印象をかなり左右するのですから、患者様が審美性にこだわりを持つのも当然でしょう。

こうしたニーズを背景に、「保険ではなくても、質の高い治療を受けたい」という患者様が増えています。「保険診療は治療時には安くても、完治しなかったり、具合が悪くなったりして、また治療を受けなければならなくなるので、結果的には高くなる。自由診療で適正な治療費を払って、きちんと治したい」と考える患者様も多くなっています。もちろん、医療保険はまったく必要ないと言っているわけではありません。「取りあえず、最低限必要な治療を」と考える患者様も存在します。要は患者様が何を望むのかによって、選択すればいいのではないでしょうか。選択肢が多いほど、真の意味で豊かな社会だと思います。歯科医も保険診療ならどういう材料を使い、自由診療ならばこういう材料も使えるなど、具体的な違いを患者様に説明して、経済的負担も含めて、選択してもらうという態度が望まれます。

ただし、自由診療になると、歯科医にも甘えが許されません。「保険だから、この程度しかできない」という言い訳が成り立たないからです。費用負担についても患者様の納得を得なければいけません。しかし、歯科医としてベストを尽くすことができます。また、プロフェショナルとして、より高度な技術を磨こうという意欲も湧いてきます。

最後に、歯科医の立場から現行の医療保険について一言付け加えさせていただくなら、保険の予算は医科に集中していて、歯科には少なくなっています。予防医学の観点からも歯科は重要であり長い目で見れば医療保険の財政悪化を食い止めるためにも、もう少し歯科への配分があればというのは率直な感想です。

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