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インプラントの歴史

古代では宝石や象牙が人工歯根に

インプラント治療の起源はインカ帝国時代のペルーまで遡り、歯が抜けたところにエメラルドの歯根が植えられたミイラが発見されています。中国やエジプトでは、象牙の歯が植えられた人骨が見つかっています。また、古代ギリシャでは権力者が奴隷の歯を抜いて自分の歯の抜けたところに埋めていたという記述があります。

その後は義歯、つまり入れ歯が発明されて発展しました。中世ヨーロッパでは、象牙や牛の骨、あるいは健康な人の歯を買って人工歯にすることも行われていたようです。「レ・ミゼラブル」には若くて貧しい女性が、自分の髪と前歯を売るシーンが描かれています。

今から100年ほど前の文献には、注射針と同じ金属をバスケット状に加工して口の中に入れたと記されています。また、体に害を及ぼさないという理由で歯根に金(ゴールド)を使ったものなどがあったようです。

その後、さまざまな材質を用いて動物実験を行うなど試行錯誤が繰り返されました。そして、ようやく落ち着いたのが、整形外科などで使うコバルトクロム合金でした。整形外科では補正の際に用い、骨がくっついたら外すという使い方をしていました。その技術を人工歯根に応用したのです。

ある程度、有効な方法でしたが、からだにとってそれほどなじみのよいものではなく、排除する作用が働いてしまうため広く普及するものとはなりませんでした。

チタンの骨誘導作用の発見でインプラントが普及

インプラントのパイオニア レオナルド・リンコー博士
インプラントのパイオニア
レオナルド・リンコー博士

インプラント治療が実際に広く行われるようになったのは1940年代です。骨と粘膜の間にフレームを入れる「骨膜下インプラント」という方法が考え出され、学術的には“近代インプラント”の時代に入ります。「骨膜下インプラント」にはコバルトクロム合金が使われていました。

1950年代になるとチタンが使われるようになり、インプラントは飛躍的には発展したのです。チタンは現在も使用されていて、インプラントには最適の素材といえるでしょう。

チタンを使うインプラントの方法は2通りあります。
一つは、ニューヨーク州立大学教授で歯科医師のレオナルド・リンコーが開発した「チタンブレード」という方法です。チタンを板状に加工し、骨には接触させないやり方です。それまで使用されていた素材と違い、折り曲げるなど加工が自由にできるのが特徴です。“インプラントのパイオニア”と言うべき方法で、インプラント普及に大きな功績がありました。

もう一つは、チタンがインプラントに適していることを発見した、スウェーデンのブローネンマルク医師が開発した「オッセオインテグレーション・インプラント」という方法です。

1952年、ブローネンマルク医師は、チタンと骨が結合する現象をオッセオインテグレーションと名付けました。オッセオとは「骨の」、インテグレーションは「統合」という意味です。そして、1960年代にイエテヴォリ大学に移籍して、膨大な基礎研究を続けると共に、オッセオインテグレーションを利用したインプラントを開発しました。

今まで開発された、さまざまなインプラントの種類
今まで開発された、
さまざまなインプラントの種類

1965年から臨床実験を始め、1980年代まで15年にわたって臨床研究を続けてデータを蓄積。ブローネンマルクシステムを確立し、1981年に学術論文を発表しました。この発表は、歯学界にセンセーションを巻き起こし、世界中でオッセオインテグレーション・インプラントが臨床の場で実際に行われるようになったのです。

このようにオッセオインテグレーション・インプラントは、基礎研究がしっかりとなされていて、臨床データも豊富なので、安全性が高いことが大きな特徴です。インプラントが10年以上機能する臨床成功率は96%以上とされています。

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